私の勤めている会社はなぜか夏休みが異様に長い。ただその分だけ普段の土曜出勤日が増えるのであまり得した気分にはならないが、まとまった休みがとれる貴重な機会ではある。私個人的には冬に休みをもらった方がよっぽどうれしいのであるが...
そうはいってもせっかくの休みなので、夏の白馬へ行ってみた。
二股から奧二股までMTBをひきずって林道を登る。これは冬にスキーで下ってきたコースだ。川沿いなので所々に小さな沢があり、休憩で涼をとれるので結構快適だ。8時にスタートして、2時間もしない内に奧二股まで登ってしまった。スキーで下ったことしかなかったので距離感が無く、もう少し時間がかかるつもりだったのだが。
時間があまったので自転車を置いて唐松沢を登ってみることにした。奥の方に滝があったはずである。
結構水が多く、水に入らなければ先へ進めない場面もしばしば。しかしその水の冷たいこと。なぜにそんなに冷たいかというと、唐松沢は湧き水の沢ではなくて雪渓の雪解け水の沢なんですな。氷水のよう、ではなくて氷水そのものである。
雪渓の下部まで登ったら、雪のトンネルが出現した。
ここでしばし休憩して沢の様子を見る。これより先は沢が狭くてじゃぶじゃぶ入っていかないと登れそうにない。しかし、水が冷たい上にかなり水量が多かったので登るのをあきらめることにした。
というわけでお昼を食べ、ビールを飲んで、昼寝タイム。こういうお気楽のんびり山登りもいいもんである。
下りは奧二股からMTBで林道下り。あっと言う間に下まで降りてしまった。時間は午後の2時頃になっていた。
〜今日の温泉〜
二股にある小日向(おびなた)の湯。登山客で割とにぎわっている露天風呂だ。男女別、脱衣所有り、洗い場有り。透明で少しぬるっとした感じの湯である。湯船からは北アルプスの山々がよく見える。
林道の途中に源泉があり、パイプからあふれた湯が溜まって天然露天風呂もどきができているといううわさも聞いたが、自転車でとばしていたので残念ながら発見できなかった。
日帰りトレッキングにはちょうどおすすめ、とのRapie松本氏のアドバイスを受けて唐松岳である。八方の黒菱まで車で登って、そこからリフトに乗って八方山荘(八方尾根スキー場の一番上)へ。そこから人通りの多い登山道を3時間ちょっとといったところだ。
リフトが動き出すのが8時頃と見て、朝一で登り出すべく7時半頃に黒菱へ。ところが既にリフトは動いているではないか。見れば営業時間は7時からとある。ちゃんと調べておけばよかった。あわてて用意をしてリフトに乗る。
八方池までは観光コースと化していて、非常に人が多い。
八方池(写真は帰りに撮影、2時頃)。こんな山の上になければ単なる水たまりだ。さすがに魚はいないが、サンショウウオかなんかが棲んでいるそうだ。下から沢伝いに登ってきたのだろうか。とはいっても川からはかなりの高度差である。サンショウウオにもチャレンジャーがいるらしい。
この八方池、最近岸辺に人が多く来るので濁ってしまい、地元ではちょっとした問題になっているそうである。特にイタズラはされなくても、多くの人が岸辺を歩けば少しずつ泥が舞い上がってしまうのだそうだ。
八方池を過ぎれば道行く人は登山スタイルの人ばかりになる。人が多く道もはっきりしているので迷う心配は全くない。途中にいくつもケルンがある。
八方池あたりまでの植物相は高山帯であるが、もう少し上に登るとなぜか逆転して亜高山帯になる。地形と風向きなどの影響らしい。歩いているといつの間にか薮の中なのである。人通りが多いからいいものの、ちょっと少なければ大やぶ漕ぎ大会は必至だ。
やぶ地帯を抜け、尾根の裏側へ回り込むとあたりの景色は岩場に変わってくる。本来ならヤバそうな所も数カ所あるが、足場やチェーン等整備が行き届いているのでさくさくと進める。
唐松岳山頂小屋までたどり着けば、後は20分くらいの登りで唐松岳山頂となる。とにかく非常に天気が良かったので日本海まで一望できた。
山頂でビールを飲み、昼を食べ、コーヒーを飲む。日差しが強いのでさすがに昼寝はできなかった...
と、12時頃になってにわかにガスの気配。下山にかかる。
山頂から少し下ったところでなんだか人だかりがしてるな、と思ったらイワヒバリの幼鳥(たぶん)がいた。まだあまり上手には飛べないらしい。親鳥は見あたらなかったが、きっとどこかで見ていたのだろう。それともガスが出てきたのではぐれてしまったのだろうか。
山頂小屋を通り過ぎて後は下る一方、というとろこでまた人だかりが。今度は雷鳥の親子だ。
イワヒバリにしてもそうなのだがこの雷鳥の親子、野生動物(しかも子連れ)のくせに人なつっこいというか、カメラを構えてもほとんど逃げない。登山客はあまりイタズラをしたりしないからであろうか。公園のハト並みに警戒心がない。といって餌を期待している風でもない。不思議な感じである。
〜今日の温泉〜
この日は気合いを入れて蓮華温泉までいってみた。位置的には栂池スキー場の裏側といって大体想像がつくであろうか。ここへ行くのは実は結構大変で、車で2時間ほどかかる。国道を糸魚川へ向かって1時間ほど下りた後、さらに1時間あまりの山道を延々と登っていくとたどり着くことができる。
冬の間はツアースキーヤーでもなければ入ることのできない秘湯でもあるが、夏の間は山小屋というか結構立派なロッジが建っており、北アルプス登山の起点・終点によく利用されているようである。
ロッジの中にもきれいな内湯があるが、ここの魅力は裏山に点在する露天風呂である。ロッジの裏手の山道を登っていくと、道の脇にいきなり風呂桶が埋まっているのである。脱衣場どころか囲いすらもない。
私が蓮華温泉にたどり着いたのは結構遅くなってからだった。あわててテントを張り食事をしたが、風呂に入る準備ができたのはもう完全に暗くなってからだ。で、ヘッドライトとランタンを手にナイト温泉ツアーとしゃれ込む。が、初めて通る真っ暗な山道を登っていくのは結構危険である。ほとんど迷いようのない1本道ではあるが、ひょっとして道に迷ったか?と不安にもなってくる。
ロッジの裏から5分ほど登ってまず姿を現したのが三国一ノ湯(写真は明朝に撮影)である。
板で囲った湯船はあるが、とにかく非常に小さい。ひと一人しゃがんで入れるかどうか、というレベルである。入っている途中で別の人が来たら目の前で待っててもらうしかないかな、などと余計な心配をしながら湯船に入る。いや、入ろうとした。が、水だった.....。どおりで湯船は小さいし人もいないわけだ。
いきなり出鼻をくじかれるが、気を取り直して次の仙気ノ湯を目指す。が、見つからない。道に迷ったわけでは無さそうだが、とにかく見つからない。あまり気合いを入れて探しにかかって本当に迷子になってしまうと困るので、諦めることにした。
で、仕方がないのでぐるっと下って黄金ノ湯を目指す。林の中の真っ暗な山道を下ることしばし。この頃になると今日は結局ふろには入れないのではないかという不安がおそってくる。
が、今度は無事に発見した。黄金の湯である(写真は明朝に撮影)。ここは先客がいた。だが残念ながら若い女性ではなく、家族連れのようであった。ちょうど出るところだったようで、ちょっと離れたところで待って入れ替わりに入る。
湯加減はちょっとだけぬるめで長湯にはちょうどいい頃合だ。天気が良かったので、なんといっても夜空がきれいであった。湯に浸かりながら天の川を眺め、しばし時を忘れる。意中の女性などを連れてくるとロマンチックで良いかもしれないが、山道を登らないとたどり着けないのがネックか。ま、それ故に秘湯と呼ぶにふさわしいのかもしれない。
明朝、仙気ノ湯とさらにその奧にあるという薬師ノ湯の探索に出かけた。すっかり明るくなって歩きやすくなった山道を登っていくと、風呂上がりの人と結構すれ違う。山の人はみんな早起きだ。
明るくなってからよく見てみると、結構意外なところに道がついていたことが判明。知っていれば夜でも行けただろうが、知らないと夜ではちょっと見つけにくい道だ。
で、無事に仙気ノ湯に到着。早朝5時前だというのに結構賑わっていた。話を聞くと皆これから北アルプスへ登る、あるいは昨日下りてきた人達ばかりであった。
さすが山中の露天風呂、展望がすばらしい。夜たどり着くことができれば黄金ノ湯より良かったかもしれない。
いきなり一眼レフを取り出して写真を撮らせてくれといったものだから、雑誌の取材かなんかと勘違いされてしまったらしい。手前の奥様は恥ずかしいといって後ろを向いてしまったが、撮影には協力してくれた。みなさんありがとう。
ここからさらに岩場を少し登ると薬師ノ湯がある。少し高いところにあるので眺めは仙気ノ湯よりさらにすばらしい。ただ、登ってくる足場が少々悪いので夜に来るのは控えておいた方が良さそうだ。明るければ全然問題ない。
ここの湯船だけは板で囲っておらず、石造りの湯船である。少々ぬるめだったが底に落ち葉が溜まっていたりして秘湯気分に浸れる。
あと他にも新黄金ノ湯というのが、かつてはあったらしい。今では「新黄金ノ湯跡」という立て札が建っているのみのただの草地である。
それから、さらに奧へ登っていくととても熱くて入ることのできない源泉があるという話だ。冬に蓮華温泉を訪れた人は雪をその中に突っ込んで湯加減をして入るそうだ。
この日は朝に蓮華温泉から出てくるのに手間取ったのもあって、1日休み。
昼間の行動:洗濯、昼寝、など。
〜今日の温泉〜
岩岳の入り口付近に倉下ノ湯という温泉(というか銭湯)がある。建物の中に脱衣場、真水のお湯とシャワーのある洗い場があり、ガラッとドアを開けると外に露天風呂、という非常に設備の整った温泉である。
露天風呂のくせに冬場もやっており(ビニールシートで囲ってしまう)、スキーの後に浸かるのにもってこいである。が、どうも最近有名になりすぎたようで、いつも激混み!でゆっくりと入るどころではなく、魅力が半減してしまった。
しかし夏場は人も少なく、湯船から北アルプスの山並みも見え、なかなか良い温泉である。泉質は非常に鉄臭くて赤い、いかにも温泉といった雰囲気。混んでなければおすすめである。
Rapie松本氏に連れられて、沢登り初体験である。夏の暑い季節にじゃぶじゃぶと登っていくのはなかなか気持ちよい。が、途中に滝を登ったりしなければならないなど技術的に素人では手に負えない場所もあったりと、エキスパートに連れていってもらわなければとても行けるものではない遊びだ。
姫川温泉付近の塩の道から横川に入り上へ登っていく。しかし上流の方に現場があるらしく、登れば登るほど水が濁ってくるというのはいまいち。
約3時間弱の行程の中で一番参ったのは、崖下りでも滝登りでもやぶ漕ぎでもなく、このあたりでウルルと呼ばれているブヨである。正式名称シロなんとかムシ(忘れてしまった)。白馬あたりで水のきれいな所には、わんさといるらしい。
とにかく後から後からぶんぶんとエンドレスに寄ってきて、少々手でおっぱらったところで全く無駄なのは蚊柱と同じ。まさに「襲われる」というにふさわしい大群である。
こいつに有効な対策はただひとつ。「走って逃げる」である。いやマジで。とにかく逃げる。さすればテキも目標を見失い、つかの間の平和が訪れる。しかし残念ながらしばらくすると一匹また一匹と寄ってきて、またもとのように襲われる。仕方がないのでまた走って逃げる。つまり、常に走って逃げ続けるだけの体力こそがウルルに対する有効な武器なのである。
体力のありあまっている松本氏はとにかく走って逃げるを実践していたが、半グロッキーの私は悟りをひらいて襲われるにまかせるしかない。気がついたらあちこちコブだらけになっていた......
〜今日の温泉〜
某所に某温泉跡というのがある。廃業したわけではなくて、移転してしまったのである。で、その場所の湯船跡には今でも源泉がわいており、昼間にはタンクローリーでお湯を汲みに来るらしいのであるが、夜は無人である。
ということは、夜中にこっそり忍び込んで「盗み湯」なるものが可能!というスリリングな噂を聞き、事の真偽を確かめに出かけた。
現地には確かにお湯が滾々とわき出ており、移転前の立派な湯船もそのままである。じゃあ後は入るだけ.....が、そうは問屋がおろさない。
温度調節も何もしていないのでちょ〜熱い!のである。江戸っ子じいさんでも入るのがためらわれるほどである。
で、今日は風呂無し。だいたい良い子は「盗み湯」なんてことはやっちゃいけません。
ちなみに、真っ暗でうまく写真が撮れませんでした。
--以下工事中--
8/5 野平〜岩戸山
〜小谷温泉〜