唐松岳バックカントリー行(Mar.1999)

 3/6の土曜日に白馬のバックカントリーショップRapie主催のバックカントリー体験ツアーに参加してみた。メンバーはボード、テレマーク、アルペン(私)の3人3道具。これにRapieの松本氏(テレマーク)と出かける途中で偶然出会って合流した松本氏の知り合いのテレマーカー男女2人の計6人。パーティーとしてはテレマーカーの人数が多かったが、最初に申し込んだ人がボードだったので「今日はボード向きのルート」ということだった。

 「体験コース」というくらいなので(参加者全員が)結構なめていたのだけど、実の所はかなりハード。シールを使うのかと思っていたら、Rapie松本氏曰く「今日はツボ足のほうがいい」とかいって板をかついでのハイクアップ。何がきついと言って、歩くのがきついと言うよりも担いだ荷物が重い。肩が痛くて仕方がない。足のトレーニングは普段も少々は気を使っていたつもりだが、担ぐトレーニングというのは全く盲点だった。

 当初の予定はガラガラ沢だったらしいのだが、「上に行くと雪が良さそうだから」とかなんとかいって、結局のところ昼過ぎまでかかって下ノ樺付近まで登ってしまった。が、私は途中のクラスト斜面にアイゼンなしのアルペンブーツでは歯が立たなくなり、滑落の危険がある(というか、一度軽く滑落した)ので写真の斜面を登るのは断念。仕方がないのでボード(スノーシュー)とテレマークのチーム(私以外の全員)が上がってから降りてくるのをしばし待って合流、そしてお待ちかねの唐松沢滑降となった。

 登りではアゴを出して死にそうな顔をしていた私だが、下りとなって俄然元気が出る。しかし残念ながら既にパウダーと呼べる状態の雪ではなかった。積雪は5cmといったところだが、重い重い。全く横滑りをしないような雪だ。
 斜度があるおかげで曲がらないということはなく、むしろその逆だ。雪にエッジがしっかり食いついて、非常に鋭くカーブする。しかし急激に方向を変えたスキーが全く横に滑らないとなると、上に乗っている人間だけが吹っ飛んでいってしまう。
 という訳で転びまくりの大滑降となった。とは言え、まっしろけのバックカントリー斜面にトラックを刻むのは実に気持ちがいい。

skier: S.Matsumoto (Rapie)

 しかし、現実はそう甘くはない。前日の雨と気温上昇の影響で、沢の下部には広大なデブリ地帯が広がっていた。仕方がないのでデブリの中を板をかついでひたすら歩く。歩いて下る場面というのは予想外だった。それにしてもデブリの固まりの堅くてでっかいこと。雪というより氷の固まり、ほとんど岩である。
 こんな雪崩に巻き込まれたらビーコンどころではない。一発でアウトだ。掘り出してもらえるかどうかも怪しい。

 デブリ地帯を抜けてほっとするのもつかの間、今度は平らな雪原のお出迎えとなる。ここでもひたすら歩く!普段から比べるとかなりきつい歩きだが、この頃になると登りよりは楽だ等と考えるほどに感覚が麻痺してきている。

 そして、麓にたどり着いたのは日が暮れて暗くなってからだった.....


Back to  Do Ski! or HOME