のんびりと沢歩き、のはずが..... 丹沢世附川水ノ木沢遡行完全失敗(Sep.2000)

 西丹沢の世附川流域はさしたる滝もなく、のんびりと沢歩きのできる所だというので連休を利用して一人で行ってみた。が、失敗の連続でえらい目にあってしまった。結構恥ずかしい記録ではあるが、後学のために記しておく。

・当初予定ルート
浅瀬橋ゲート〜水ノ木橋…水ノ木沢遡行…ブナの丸〜菰釣山〜ブナ沢の頭…フジモク沢下降…地蔵平
(地蔵平…赤沢遡行…大界木山〜城ヶ尾峠〜地蔵平)〜浅瀬橋ゲート

・実際のルート
浅瀬橋ゲート〜水ノ木橋…水ノ木沢遡行…水ノ木沢の支流(ビバーク)
…水ノ木沢西側のピーク…東海自然歩道〜ブナの丸〜菰釣山〜菰釣避難小屋(泊)
〜城ヶ尾峠〜信玄平〜地蔵平〜浅瀬橋ゲート

失敗その1:天候判断を誤る
 まず、そもそも出かけたこと自体が失敗であった。天気があまり良くないのはわかっていたのだが、その原因が台風であるということに全く注意を払っていなかった。週間天気予報を見て、あまり降水確率が高くなかったのであまり深く考えていなかったのである。出発当日の朝になぜかよく晴れていたのも惑わされた原因の一つであった。

失敗その2:入渓点を間違える
 本来は菰釣橋よりさらに林道を30〜40分ほど歩いた所が入渓点なのだが、菰釣橋付近が入渓点だと勘違いしてしまった。結果、持参した遡行図とかなり渓の様子が異なっていたのだが(当たり前だ)不思議に思いながらも入渓点自体が間違っていたということに気が回らなかった。

失敗その3:道を間違える
 これがいちばん致命的。入渓してしばらくは現在地特定も自信を持って確認していたが、遡行図と渓の様子が全く合わないことから徐々に混乱しだして、徐々に現在地特定もあやふやになってしまった(その時点では自分ではそういう認識はあまりなかった)。そしてとうとうビバーク地手前付近で道を間違える。現在地をもう少し先の方だと勘違いしてしまった。

救いその1:ビバーク地の選定
 ビバーク地に到着したのは午後1時。予定ではそれから詰め上げて、フジモク沢源頭部まで降りるつもりだった。しかし、予定よりちょっと時間が遅いとか天気が悪いとか現在地が怪しいとかの不安要素があったので、時間はかなり早いがビバークを決め込んだ。
 この時もし登りにかかってしまって台風の中でヤブ尾根ビバークになってしまっていたら、もっとひどい事になっただろう。

 さて、二日目の朝はヤブ漕ぎから始まった。ちょっと詰めればすぐに東海自然歩道に出られるとタカをくくっていたが、漕げども漕げどもササばかり。ここに至ってやっと道を間違えていたことに気付き、現在地を知って愕然とする。水筒を一つ落っことすわ雨がだんだん強くなってくるわで自分の間違いをを呪いつつひたすらヤブを漕ぐ。2時間ほど進むとかなりはっきりした踏み跡が見つかったので多少気が楽になる。
 どうにかこうにか稜線に辿り着く。しかしまだ東海自然歩道らしきものは見あたらない。いつの間にか通り越してしまったのかと不安になる。が、よくよく辺りを見回してみるとササヤブの中の踏み跡がやけにはっきりとしている。そう、ここらの登山道は妙にササヤブが深いのだ。うっかりすると本当に通り越してしまうところだった。
 登山道までは辿り着いたが相変わらず雨は強いし、おまけに雷も鳴っている。とりあえず菰釣の避難小屋まで行って、そこで態勢を立て直すことにする。さすがにこの時点では既にフジモク沢へ降りることは全然考えていなかった。こんな天気に沢へ降りるなんて考えたくもない。が、登ってきたのは自分だったりするんだな...

 避難小屋に着いたのは午後2時。このまま一気に下山しても何とかなりそうな時間ではある。が、この天気だ。降りきれずに途中でビバークになってしまった時の事を考えると.....あまり考えたくないので避難小屋で一晩泊まって、明朝下山することにした。

 三日目も相変わらず朝から雨が強い。しかし、小屋の中でゆっくりと完全武装できるので気は楽だ。例によってササに埋もれそうな登山道を東へ進む。そして城ヶ尾峠に到着。
 ここから先は東海自然歩道の旧道だ。本道がこの様子では旧道はさぞかしすごいだろうとおもいきや、以外にしっかりした道である。拍子抜けしてしばらく進む。が、さすがは旧道、崩壊地のお目見えである。崩壊していること自体はさしたる問題ではないが、向こう岸の道がどこにあるのかよくわからない。下へ降りすぎないように注意しながら踏み跡を探しつつ進む。が、どうも様子がおかしい。踏み跡が縦横無尽に交差し、混乱しているのである。どうやらここはみんなが迷い込む所であるらしい。あわてて地図とにらめっこして軌道修正を図る。幸いまだそれほど離れたところへは迷い込んでおらず、ちょっとしたトラバースで登山道に戻ることができた。
 後はひたすら降りるのみ。そして地蔵平。ここでほっと一息つくところだが、世附川はここからが長い。林の中ではあまり気にならなかった雨も、頭から水、足下は小川とやけに実感させてくれる。
 土砂降りの中、2時間かけて林道をとぼとぼと下る。自転車だと楽かも....と考えるが、この林道は車両と名の付くものは自転車でも不可!なのでありました。残念。

 昼頃には雨も上がり、無事浅瀬に到着。雨が止んだのを感謝しながらゆっくりと帰り支度にかかる。やれやれ。

 今回はさんざんな目にあったが、非常に勉強になった山行でもあった。
 ちょっと悔しいので、また来年にでも同じコースでリトライをかけてみたいところである。


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